君の傍。



そして、逃げ出したと言われても頷ける速さで、屋上から姿を消した。










「涼くん……?」







涼が屋上から居なくなったあと、いくら校舎を捜しても、涼はいなかった。



仕方なく、奏丞は教室に戻る。











ガラッ




「おい!橋口、今まで何してたんだ!!!」




どうやら、授業は始まっていたようだ。



「保健室。」


そう一言言うと、席に着く。


つい誰もいないはずの隣を見てしまう。


鞄だけが残された机。






持ち主のいない机。







余計に『帰る』と言ったときの涼の悲しそうな瞳を思い出すだけなのに、見てしまう。








少し離れた李夜桜の席にも誰も座っていない。



多分、保健室にいるのだろう……







『李夜桜の気持ち、分からなくはない、な…』









奏丞はため息を一つ吐くと、授業に集中し始めた。





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