Pair key 〜繋がった2つの愛〜
「……ごめんね?」
「…………」
「ねぇ、そんなに怒んないでよ……仕方ないでしょう?」
「何が“仕方ない”だ……」
「俊哉さんと久しぶりのデートだったから……少しでも綺麗になりたかったんだもん」
「……その必要はない」
「どうして?」
「必要性が無いから必要ないと言っている」
「でも少しでも綺麗な方が、面目は良いんじゃない?」
「わざわざ虫を引き寄せる必要は無い」
「……虫?」
鈍いにも程がある……そう呟きながら振り向いたた俊哉さんが、ギラリと睨みつけるような鋭い目をして再びわたしを押し倒す。
どうやら本気で怒らせてしまったみたいなのに、何故だかわたしは冷静で……心なしか喜んでいる自分がいた。
(これは嫉妬……なのかな?)
そう思うわたしの中に芽生えた感情は独占欲——この人を、独り占めしたいと思った。
他の男性にチヤホヤされることで、この人の執心に火が付くのなら、たまにはこんな形で煽ってみたいとさえ思ってしまう。
そうすれば、確かめることができるから——
どれだけ相手が必要で、どれだけ自分が必要とされているのかを――