Pair key 〜繋がった2つの愛〜

鍵の居場所

*side 俊哉*

のしかかるようにして迫りつつ、私は愛音を問いつめる。
この際だ、はっきりさせておこうではないか……この馬鹿娘には、それが必要に思えた。
強いて言えば、私もそれを望んでいた。


「お前は私の女だ……そうだな?」

「…………」

「沈黙は肯定とみなす……違うというのなら反論してみせろ」

「…………」

「お前は私に惚れている……」

「…………」

「つまり、お前の心を支配しているのは私という事になる」

「…………」

「ならば当然、私の言に応ずる準備がある……そうだな?」

「…………」

「お前は私の、……私に不満はあるまいな?」

「……それ、ちょっと図々しくないですか?」

「ふっ……なぜだ?私ほど完璧な男はそうあるものではないぞ。私のどこに不備があると言うのだ」

「不備かぁ。揃い過ぎてるのも考えものですね……どんなに完全無欠でも、たった一つの肝心なモノが手に入れられないんじゃ、その身に備わった物が無意味に思えたりするんだろうし」

「……………」

「たとえ俊哉さんでも、それが無いと、100%満足することは出来ないんじゃないですか?」

「……で?その肝心なものとは一体なんだ?」

「え……だから、多分、わたし……とか?」

「ふっ、お前も相当……ふてぶてしくて厚かましいな」


言いながら私は愛音を強く抱き締めた。
図々しいにも程があるが、まさにその通りなのだから失笑だ。

私は自分の持ち得る全ての力を使ってでも、この女を手に入れたいと思っている。
もっと確実に、明確に、コレが私のものだと証明したい。

そして安心したいと密かに願う……
先の見えない未来でも、この先ずっと愛音が私の元を離れないであろう確証を手に入れて。


(これは縛りたい心の表れだろうか。嫉妬に駆られて単純に、繋ぎ留めていたいだけなのかもしれんが……用意しておくに越したことはないだろう)



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