Pair key 〜繋がった2つの愛〜

key-point


*side 愛音*

怒ってる。彼はきっと怒っているのだと思う……その原因はわたしで、理由はたぶん、さっきの問い。

わたしが満足な答えを返さなかったから、彼は怒っているのだと思った――



俊哉さんがわたしの左肩を掴んで起こす。
持ち上げておいて押し付けて、わたしは腰をひねって横向きになり……上半身だけが強引にうつ伏せにさせられた。

ぽふっと布団に顔を突っ伏し、長い髪が舞い上がって乱れた。
振り払って直そうにも、押さえつけられたせいで頭がほとんど持ち上がらない。
わたしは辛うじて横向きになり、ちらりと顔にかかる髪の隙間から、彼を見上げることしか出来なかった……

ほんの一瞬ぐらいは、反抗しようかとも思った。
だけど、わたしが言葉を使って気持ちを表したように、今度は俊哉さんが態度でもって示してくれるのかもしれない。なにか伝えようとしてくれているのかもしれない……
そう思ったら、口先だけでも拒むことなんて出来なかった。

だってわたしはたった今、それを汲み取る術を学んだばかりで。すぐにでも試したいと思うのは、恋する女なら当然じゃないかと思う……


俊哉さんがわたしの髪に触れる。
かきあげて、うなじを露わにしたあとに、顔にかかる髪の束もよけてくれた。

まるでこれからロールアップでもするかのように、頭上後方に広がるわたしの髪の毛。
それを押さえるように手をついて、体重を乗せる俊哉さん……

少しだけベッドに沈みこむ髪に引っ張られて、わたしは小さく声を漏らし、少しずつ顎があがる。

だけどその後に続く痛みに比べたら、こんなのは無に等しい刺激だった——


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