Pair key 〜繋がった2つの愛〜
誓約と成約
*side 愛音*
ふっと鼻で笑ったあと、俊哉さんがわたしに向かって言い放つ。
「悪かったな……」
「え……なにが?」
「まあ、疑われるような言い方をするお前に問題があると思うがな……」
「だから……それ、なんのこと?」
「私に聞くな、自分で考えろ」
「……俊哉さん、やっぱり怒ってるの?」
「怒ってなどいない」
「じゃあ、傷ついた?」
「……傷がついたのはお前だろう」
仰向けになりかけていたわたしを押し倒して、完全なうつ伏せ状態にさせる。
そうして上に跨がったままの俊哉さんが、ブラジャーのホックを外したあと、わたしの背中に息を吹きかけて……しっとりと温かい物が触れた。
「――ひゃぁッ!!」
彼の舌が触れていた。唾液を含ませたそれが、ぬるぬると滑らかに動いて熱っぽい。
ほんの少し傷に滲みた……だけどそれ以上に、ぞくぞくして、くすぐたっくて、手足に鳥肌が立ってしまっていた。
「ちょ、ちょっと!気持ち悪いからやめてぇ!」
「……心外だな。痛いよりは増しだろうが」
「だ、だめぇ!こっちの方がヤバい!くすぐったくてゾクゾクする〜っ」
「なんだ?感じているのか?」
「ち、ちがっ……っ!」
言いようのない感覚だった。本当に、なんて言ったらいいのか分からない……わたしを包み込むような攻めるような刺激。
泣くほど痛いわけでもない、火傷するほど熱いわけでもない、なんの被害もないハズなのに、確実にわたしの頭を侵していた。
調子づいたのか、嫌がらせなのか……とにかく俊哉さんはわたしの嫌がることを続け、わたしを苦しめるばかり。
ベッドのシーツを握りしめ、涙が出そうなくらいに苦しいのを身を震わせて耐えている間に、わたしの背中は俊哉さんに弄ばれてすっかり湿ってしまっていた。
ふーっと息を吹きかけられる。
そのひんやりとした感覚は解放の合図だろうか。
ギューッと閉じていた目をようやく開けて、わたしは見上げた先にいる俊哉さんを思いっきり睨んだ。