Pair key 〜繋がった2つの愛〜
*side 俊哉*
滲んだ血液を口に含み、労るように施した。
優しく扱ってやっているというのに、愛音には堪え難い刺激らしく、息苦しそうに身悶えて、小さな抵抗を繰り返していた。
痛みで神経が麻痺するというのなら理解も出来るが、過敏になっているとはどういうことなのか。
私は愛音をひっくり返して仰向けにし、その表情を見て、どうやら本当にコイツの性感帯に触れてしまったらしいことを知った。
顔を赤らめ、浅い息を繰り返し、瞳を潤ませて睨む愛音は怒っているのだろうが……私には無効な所作だった。
どう見ても誘われているようにしか思えない。
自分の上着を脱ぎ捨てて、隣のベッドに放り投げたあと、愛音の衣服も剥ぎ取った。
それにしても恐ろしい程に薄着の奴だ。胸元が大きく開いた肩も膝も透けるようなヒラヒラしたものを身に纏っておきながら、その中にはシャツの一つも着ていない。
そんな格好で町中をウロウロしようものなら格好の餌食だろうに……迷惑極まりない。
自分の外見について、自覚が足りんのだ……コイツは。
そんな怒りの粒子を口に含み、愛音の口内へと運び込む。
お前は私の餌食にだけなっていればいいのだと、弄ぶように舌でなじる。
愛音はそれを受け入れて、唾液と共に飲み込んだ。
物わかりの良過ぎるお前が珍しくもあり、不思議な繋がりを肌で感じる。
私だけに見せる笑顔、私だけに見せる肢体、私だけに見せる涙。
それらを手にした私の中に、満足の二文字は存在せず、ただひたすら貪欲に、愛音の全てを渇望した。
コイツは覚えているのだろうか。
私が以前、お前に託した物の重みと言葉の意味を……きちんと理解しているのだろうか。
それが今も尚この身に刻まれていることを、把握しているのだろうか。
(確かめてみるとするか……)
そう思って、私は愛音の胸をつかみ取った――