Pair key 〜繋がった2つの愛〜
*side 愛音*
ぼーっとするようなキスの合間に、暗黙の了解があったような気がした。
交わされた約束は、お互いの望みだったことを知る。
わたしは彼が大好きで、彼もまた、わたしを好きでいてくれてる。
だから今、必要なのはお互いだけ。
わたしは俊哉さんが隣に居てくれればそれで、幸せだと思った。
裸になったわたしの胸が、彼の手の平に包まれて、キュッと力が込められる。
わたしは息を飲み込んで、押し殺した声に期待を隠した。
「お前の心は、どこだ?」
「どこって……ココにあるよ?」
「では私の心は何処にあると思う?」
「側に、あるんじゃないの?」
「ふんっ、曖昧だな……」
そう言って彼が胸の先端をなじる。不満足な答えに、豪を煮やしていた……
俊哉さんは時々難しいことを言うから困る。
しかもわたしが意味が分からないと言うと馬鹿にするし、突き放して教えてくれない。いつも、自分で考えるんだなと言って鼻で笑う。
それはわたしのためを思って言ってくれてるのか、面倒だから避けてるだけなのか、もしかしたら照れ隠しなのか……
分からないけど、とにかくイロイロ難しい。
でも、嫌ではない……彼の考えに触れるのは好きだった。
わたしが理解できないであろうことを知りながら、敢えて話す彼も彼だ。
それってもしかして、俊哉さんも好きでわたしに話してる……ただ聞いていて欲しいだけ——って、そういうことなのかな?と、今ならそう思える。