Pair key 〜繋がった2つの愛〜

keywordは禁句

*side 松元*

用件を伝えている途中で、愛音が姿を現した。

先ほどから手短に指示を出しているが、どうにも要領を得ない……私が急いでいるにも関わらず、向こうは悠長に構えていた。
一度で覚えられるくせに、念のためにと確認を繰り返す仕事熱心な部下でありながら、唯一プライベートでも親しいコイツとはそれなりに長い付き合いだ。こういう時こそ機転を利かせるべきだろう。
帰ったら説教をしてやらねばと思いながら、クドい確認に相づちを打っていた。

「――――の、――――を、――――――ですね?」

「そうだ。何度も言わせるな、それを明朝までに、確実に、だ。わかったな?」

「―――!――――!!」

「話は以上だ、切るぞ……」

「――――――!――――――――ですか?愛音ちゃんも?」

「お前に話す義理はない。切るっ……」


どこぞの節介な年寄りかと思う程の追求が始まる前に切った電話。

ふと目を上げると愛音が厳しい目つきでこちらを見ていた。


「お仕事ですか?」

「まあ、そんなところだ」

「ふーーん……」
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