Crescent Moon
『教師としての自分』
年を重ねれば重ねるほど、虚しくなるのはどうしてだろう。
1人だということが、寂しく思えてくるのはどうしてだろう。
焦っているのは、お母さんだけじゃない。
私が、1番焦っているのだ。
きっと。
これから先も、1人で生きていくのか。
誰とも深く関わることなく、たった1人ぼっちで人生を全うするのか。
先の見えない未来が待っているからこそ、不安になる。
未来が怖くて、堪らない。
私は、これからどうなるんだろう。
私は、これからどうしたいんだろう。
それは、私にもよく分からない。
結局、あの日のお見合いの話は断ることにした。
だって、簡単に決められない。
決めちゃいけない。
一生が懸かる、大切なことだから。
「お母さん、お願い………何とか上手く断ってよ!」
あの人と結婚するのだけは、どうしても嫌だった。
あの人というよりは、あの場に誰が来ても同じ答えを選んでいただろう。
私は。
自分が結婚する人は、自分で選びたい。
他人に世話をされて紹介してもらうのではなく、自分の手で見つけて、自分の力で幸せになりたい。
一生をともにする相手を、他人に決められたくなかった。
どうしても、自分自身で納得出来る人と結婚したかったのだ。
プライドが許さないといえば、その通りなのだろう。
それほど、大きなプライドという訳ではないけれど。
年を重ねるほど、プライドばっかり高くなるのはご愛嬌。
「まひる、そんなこと言ってると、当分結婚なんて出来ないわよ?」
お母さんはそう言って、溜め息をつく。
分かってるよ、お母さん。
これが、私のワガママなのだということ。
そんなことばかりを言っていたら、いつまで経っても結婚なんて、夢のまた夢だということは。
お母さんに、そんな溜め息をつかせたい訳じゃない。
私だって、両親を安心させたいって、そう思ってる。