Crescent Moon



羨ましいと、また思ってしまった。

環奈のことが妬ましいと、そう思ってしまった。


おかしい。

ほんと、おかしいよね。


私と環奈は友達なのに、そんなことを思うなんて。

環奈に嫉妬しているなんて。



誰からも愛される、環奈。

誰から見ても可愛らしくて、素敵な環奈。


自慢の友達であると同時に、私はそんな環奈にずっと嫉妬していたんだ。



醜い。

汚い。


そんな自分が、ここにいる。

もう何年も前から、そんな自分が存在している。



(こんな私だから、きっと………1人なんだよね。)


くだらないことで嫉妬して、妬んでばかりいるから、私はいつまで経っても変われない。

こんなことばかりを考えているから、私の周りには誰もいないんだ。


私は、1人ぼっちなんだ。



(………、これからも、私は1人ぼっちなのかな………。)


孤独な自分の未来しか、頭には浮かばなかった。

誰かと一緒にいる自分なんて、どうしても想像出来なかった。


結婚が全てだとは思わない。


結婚なんてしなくても、幸せになっている人はたくさんいる。

満たされている人は、きっとたくさんいる。



無理に、結婚したいんじゃない。

だけど、1人でいるのは嫌だ。


誰か、そばにいて欲しい。

誰かの隣にいたい。


そう思うのは、わがままなことなのだろうか。



強いフリをしていても、私だって人間だ。

普通の、どこにでもいる女だ。


1人でいるのは寂しいし、愛されたいとも願っている。


強い人間でありたいけれど、そうではない。



ただ、人並みの幸せが欲しいだけ。

人並みの幸せを掴みたいだけ。


それなのに、どうして上手くいかないんだろう。

どうして、思った通りの未来を描けないのだろう。


ぼんやりと夕焼けを見ているうちに、忘れていた気持ちまで思い出してしまう。

考えない様にしていたものまで、蘇ってしまう。



幸せになりたい。

でも、どうやって?


1人になりたくない。

だけど、一緒にいてくれる人なんていない。


どうしたらいいの。



悲しい気持ちに包まれた、その時だった。



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