執事の加藤さん。
「………」
しかし、お嬢様は口を開こうとはしない。
俺もどうしたら良いのか分からず、黙ってお嬢様が喋るのを待つ。
すると、
「ねぇ…、加藤はさ、今まで彼女とか…居たんだよね?」
まさかの質問に、俺はビックリした。
何でそんな事をお嬢様が聞いてくるんだ?俺の事なんて興味なさそうなのに…。
「明日は嵐が来ますね」
でもお嬢様がそんな事聞いてくるなんて有り得ない!!これは絶対に嵐の前触れだ。明日の天候は荒れるぞ!!
俺は少し震えながら、明日の天気を気にした。
「何言ってんだ加藤。絞めるぞ?さっさと質問に答えろ」
「すすすす、すすすいませんっ!!!かかか、彼女ですねっ、いっいましたよー」
俺は顔を引きつかせながら、答える。
「ふーん。何人ぐらい?」
「へっ?あー、何人でしょう。全く数えてないので、覚えてないですねー。付き合うとか彼女とかってあんまり気にしてなかったので…」
そう言って俺は、頭をかきながら苦笑いする。
何だろう。あんまり、お嬢様にこんな話ってしたくないかもしれない。何でだろう。
そうか。俺はお嬢様に、俺の“ 過去 ”は知って欲しくないのか…。