執事の加藤さん。


握られたスーツの袖。
少しだけ、お嬢様の手が自分の手に触れる。

何だろう、この感じは…。



「…はい。お嬢様が寝付くまで側に居ますよ」

そう言うと、お嬢様は布団から、ちょっとだけ顔を出してきた。


「絶対ね。嘘つかないでね。居ないと殺す…」

恐ろしい言葉と共に…。


こっ、怖すぎる…。

青ざめた俺を他所に、お嬢様は気にもせず俺の袖を握ったまま布団にうずくまった。


そこは、離してくれないのですね。
まぁいっか。

何だか、今のお嬢様はとても可愛く思えた。

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