執事の加藤さん。



「おっ、お嬢様…」

「なに」

「あのっ、…一体、何をされているのでしょうか」

「…頭撫でてる」


ですよねっ!!そうですよねっ!!
いやいや、そうじゃなくって。


「何で撫でてるんですか?」

「あぁ、…昔ねママが体調悪い時は、こうやって頭撫でてくれてさ。そしたらさ、体調悪いのも忘れて落ち着いてくるんだよね」


お嬢様は思い出したように言った。
顔は見えないけれど、きっと優しい顔をしているんだろうな…。





だって、声が優しい。





「へへっ、そうですね。何か落ち着いてきたような…気もします。それに、とても気持ちいいです。撫でられるって…」


嬉しい気持ちを正直に答えると、頭を撫でていたお嬢様の手がピクッと跳ねた。


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