執事の加藤さん。
「そんなにお嬢様の送り迎え、立川くんじゃダメなの?」
「ダメっす」
「なんで」
「なんでって…、だって、だって、」
「アイツめっちゃ、チャラいんですよ!!だからあんな奴がお嬢様の送り迎えとかしたらダメに決まってるじゃないですか!!」
そう、立川は物凄く女が大好きで大好きで大好きで堪らない男なのだ。
いつもメイド達にナンパしてるし。まぁ顔はイケメンだから皆、嫌な気はしていないようだけど。
アイツ絶対お嬢様を口説く。間違いない。俺はお嬢様に、そんな変なチャラ駄目男に引っかかってほしくないんだ。
「まぁ、立川くんがチャラいのは皆知ってるじゃん。って、そこが心配なの!?『お嬢様を立川に取られたくない!』とかじゃないの!?」
「えっ、何でですか?」
「……、ハァ~…」
何故か、溜め息をつかれてしまった。
「…こりゃ、お嬢様は大変だわ」
「へっ?」
ボソッと何かを呟いた亜由美さん。俺はその言葉を聞き取れずに首を傾げる。
そんな俺を少し睨むと、また溜め息をついて「何でもなぁ~い」と両手を上げて仕事へ戻ると言って帰ってしまった。