【長】野球ボール




いつも通り着替え終わると、グラウンドの照明も全部消えていた。


昨日までと変わらない景色。


「なーんだ。一輝の奴…やっぱり忘れて帰っちゃったんだ」


マイペースな一輝のことだから、きっとお腹減って帰ったんだろうな…。


「一輝のバーカ…」


寂しいあたしの独り言も、夜の学校では簡単に消えてしまう。




「……遅ぇよ」


門にさしかかったとき、聞き覚えのある声がしたんだ…。


言葉は少し乱暴だけど、優しさのこもった声が。


誰もいないと思ってたのに…。


何してんの…?
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