【長】野球ボール
「言っとくけど、叶夏が俺を避ける権利はねぇからっ」


「え?」


何だか久しぶりに声を出した気がする。


「避けたらまじ許さねぇから。あーこれで、最悪な誕生日は免れたか?」


「……誕生日」


特に意味もないけど、あたしは一輝の言葉を繰り返して言った。




「今日から俺の方が年上だな」


振り返って笑いかける一輝は、いつもの一輝だった。


なぜだが少し……

ホッとした。


あのままだと、逃げ出してしまいそうだったから…。


まだ手足が震えてる…。
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