【長】野球ボール
グラウンドにはやっぱり一人黙々と打ち込む姿があった。


あたしは近付いてその人に話しかけた。


「……一輝?」


一輝はすぐにあたしに気が付いた。


「おー叶夏、早いな。はよっ」


「おはよ。一輝こそ、こんな朝早くから何してんの…?」


「自主練っ」


「嘘でしょ?」


あたしにとっては、ありえないことで……

思わず聞き返していた。




「俺下手くそなくせに、すげぇ負けず嫌いだからな。少しでも上手くなりたくてやってんの」


「まだ1年じゃん?これからいくらでも上手くなるんじゃないの?」


「お前なー、実質2年しか高校野球はないんだぞ?後悔なんてしたくねぇじゃん」


きっと毎日の練習で疲れてるだろうに……


一輝の笑顔はすごくすごく輝いてた。


何で…?
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