【長】野球ボール
ソウソウに抱き着いたまま、しばらく涙が止まらなかった。


後ろからは静かに、励ちゃんが頭を撫でて落ち着かせてくれてた。


あたしの様子に驚いて声をかけてくれる人には、ゆうくんがうまくごまかしてくれた。


一輝は…少し後から戻ってきて、別のところに座ってるみたい。


せっかくの先輩の卒業祝いの会なのに…。


泣いてちゃダメだよねっ。


分かってはいるんだけど…。




どれぐらい経ったか…。


あたしはやっとソウソウから離れて顔を上げた。


「大丈夫?」


その優しい声に。


「……ありがと」


そう答えることしかできなかった。
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