【長】野球ボール
「叶夏、手」


一輝が左手を差し出してくれた。


ドキドキしながら、あたしはその手を掴んだ。

そしたら不思議と…笑顔になったあたし達。


「そうそう。その顔が撮りたかったんじゃ」


カシャッ




「ありがとう。これできっとばあさんも元気になる」


「早くよくなるといいですね」


「きっとまたそのうち、ばあさんとここらを歩いてるよ。君達よりラブラブだと思うぞ」


幸せそうに笑うおじいちゃんに、あたしは聞いてみた。


「おばあちゃんのこと、今も大好きですか?」


「バカじゃな。わしはばあさんを、愛しているんじゃ」


はっはっはっ…と笑うその顔は本当に本当に幸せそうだった。


「じゃあ君達も仲良くするんじゃぞ」
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