【長】野球ボール
練習前にあたしは一輝に声をかけた。
「今日ちょっと用事あるから、先に帰ってて?」
「……いい…待ってる」
「でも…遅くなるかもしれないし」
「待ってて欲しくないなら帰るけど、そうじゃないなら待ってる」
一輝はあたしの言う用事が、何のことか分かってるみたいだった…。
だからあたしももう何も言わなかった。
その日の練習は……
いつもよりとても短く感じた。
何て言うかなんてまだ決めてない。
でも、あたしの気持ちを素直に言えば伝わるはずだから…。
もう逃げない。
真っ直ぐ前を見る。