【長】野球ボール
一輝はいつもと同じところで待っていてくれた。
けど、いつもみたいに”遅ぇ”なんて言わない。
あたしに気が付いた一輝は、静かに口を開いた。
「……もういいのか?」
あたしはゆっくり近付いて、笑顔で答えた。
「うん♪今日も暑いねー」
「え…あぁ、夏だしな」
あたしは一輝を置いて歩き始めた。
「ソウソウがね、一輝もこんな季節に産まれてくるなって言ってたよ」
「は?」
「暑いじゃん?だから迷惑だって」
「あぁ…え?は?」
何で今その話!?って顔してる一輝。
そんな一輝を見て、少しだけ緊張をほぐすあたし。