【長】野球ボール
「は?これからって?」


冷ややかな一輝の目がソウソウを捕らえる。


「これからと言えば夏の大会しかねぇじゃん?甲子園はもういいのかよ?」


「…………」


押し黙ったままの一輝に励ちゃんが声をかける。


「今は治療に専念するべきだと思うけど、治療だけで夏を終える必要はないと思うんだ」


「今の一輝の気持ち、聞かせろよ」


穏やかなソウソウの声。




「……お前らこそ本音言えよ!!荷物になるから辞めて欲しいんだろ!?」


一輝から放たれたとは思えない酷い言葉。


「何言ってんだ!?」


「そんなわけない!!」


抑えようとする二人を完全無視して、一輝はまだ言葉を並べようとする。


……もう我慢できない!!


パシンッ


高い音が響いた。
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