【長】野球ボール
「いよいよ明日が本番だ!!相手が格上だからと言って、遠慮も気負いも必要ない!!今までの経験を全て出してこい!!」


『はい!!!』


「とにかく明日は鈴一高校らしい野球をしような!!えー…マネージャー?」


監督が選手に激励を飛ばし、あたしたちマネージャーに声をかけた。


この緊張感…。

ほんとに明日が試合なんだ……




「えっと…今年は二人でつくりました」


そう言ってあたしが袋から出したのは千羽鶴。

昨年も一昨年もあたし一人だけだったから大変だったけど、今年は二人で折ったから予定より早くできたの。


「皆が試合で勝てますように、たくさんたくさん心を込めて折りました。明日…絶対勝ってくださいっ」


愛衣ちゃんが目を潤ませながら言った。


本当にかわいいなー…。

あたしも1年のときはこんなだったのかな?


皆に気持ちを伝えたいけど、緊張してうまく言葉が出てこなかったっけ…。

あたしの不器用な千羽鶴でも、皆喜んでくれて…すごいうれしかったな。


あたしにとっても最後の大会なんだよね…。
< 587 / 683 >

この作品をシェア

pagetop