【長】野球ボール
「……叶夏が素直なの珍しい」


少しはにかんだ後、またギュッと抱きしめられた。

そしてそのままキス。


暑いからくっつくのは、日が沈んでからがよかったんだけどなー…。


「俺も叶夏が好き」


もう逆らえるわけもなく……

一輝の背中に手を回した。


何度もしたキスだけど、もっとたくさんしたいって思う。




ガタッ


体が机に当たって、ボールがコロコロと転がった。

その様子を一輝越しにうっすら見た。


ずっと追いかけ続けた野球ボール。


あたしと一輝が近付くきっかけ。


一緒に時を刻んだ野球ボール。


消えることのない記憶。


……ん?


え…?
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