線香花火
「今日会いに来て正解だったなぁ。」
「え?」
「だってこんなに可愛い澪波ちゃん見れて、俺のものですよーっていう印までつけられてさ。これ以上何を望む?」
「…望んでよ。」
「え?」
「私ばっかり貰ってる気がしちゃう。指輪もだけど、安心できる言葉もいっぱい貰ったし、何より今日、…一人じゃない。」
「…俺を甘やかすと痛い目みるって澪波はわかってると思ってたけど?」
「聡太も充分私を甘やかしてると思う。」
「だって時々しか会えないんだから、会える時には思いっきり甘やかしてあげたいじゃん。普段色んなこと我慢してるし、させてるんだと思うから。」
「…我慢、してる?」
「そりゃあもう。毎日会いたいし、毎日キスしたいし、澪波の体力のもつ限り抱きたいし、抱きしめたまま眠りたい。目が覚めても澪波がいて、どうでもいい話して、いってらっしゃいって送りだしてくれてとか考えるだけで最高じゃん。」
「…妄想力、豊か…。」
さすがに澪波だって我慢はしているけれど、そこまで妄想するほどではない。そりゃあ会いたい時に会える距離にいてくれたらなと思うことはしばしばあるけれど、キスはおろか、抱かれたいとまではそこまで思わない。(聡太の場合、一度が長いし重いからかもしれない。もちろん嫌というわけではないが。一度でしばらく充分である。)
「でもそれは近い未来そうあるように努力するとこだから我慢するけどさ。」
「…私も努力する。ちゃんとした大人になれるように。」
「澪波は充分ちゃんとした大人だと思うけどね。」
「まだまだだよ。強がってばっかりで、全然強くないし、へこたれるし。仕事もミスするし。」
「強くならなくていいよ。俺の存在意義がなくなっちゃうじゃん。」
「守ってもらう自分は嫌だもん。」
「まぁでも、『俺が守ってやる』っていうのは何か傲慢で、澪波と俺には合わない感じがするかな。」
「そうだね。」
聡太に守ってもらうのも、澪波が守ってもらわなくてもよい存在になるのとどちらも何だか合わない感じがする。
「ところで澪波ちゃん。」
「なに?」
聡太が少し甘えた声で『澪波ちゃん』と呼ぶ時は、大概怪しいことを考えているときだというのを、ここ数カ月で知った。
「望んでもいい?」
「…モノによるけど。一応言ってみてよ。」
一応、とは言ったものの、もうそのお願いの内容だってほとんどわかっているようなものだし、お願いを叶えてあげる気でいるのだから自分も相当甘いと澪波は思う。
「澪波ちゃん、ちょーだい。」
「言うと思った。」
目がらんらんと輝いている。それこそ指輪の輝きには負けないくらいに。
「え?」
「だってこんなに可愛い澪波ちゃん見れて、俺のものですよーっていう印までつけられてさ。これ以上何を望む?」
「…望んでよ。」
「え?」
「私ばっかり貰ってる気がしちゃう。指輪もだけど、安心できる言葉もいっぱい貰ったし、何より今日、…一人じゃない。」
「…俺を甘やかすと痛い目みるって澪波はわかってると思ってたけど?」
「聡太も充分私を甘やかしてると思う。」
「だって時々しか会えないんだから、会える時には思いっきり甘やかしてあげたいじゃん。普段色んなこと我慢してるし、させてるんだと思うから。」
「…我慢、してる?」
「そりゃあもう。毎日会いたいし、毎日キスしたいし、澪波の体力のもつ限り抱きたいし、抱きしめたまま眠りたい。目が覚めても澪波がいて、どうでもいい話して、いってらっしゃいって送りだしてくれてとか考えるだけで最高じゃん。」
「…妄想力、豊か…。」
さすがに澪波だって我慢はしているけれど、そこまで妄想するほどではない。そりゃあ会いたい時に会える距離にいてくれたらなと思うことはしばしばあるけれど、キスはおろか、抱かれたいとまではそこまで思わない。(聡太の場合、一度が長いし重いからかもしれない。もちろん嫌というわけではないが。一度でしばらく充分である。)
「でもそれは近い未来そうあるように努力するとこだから我慢するけどさ。」
「…私も努力する。ちゃんとした大人になれるように。」
「澪波は充分ちゃんとした大人だと思うけどね。」
「まだまだだよ。強がってばっかりで、全然強くないし、へこたれるし。仕事もミスするし。」
「強くならなくていいよ。俺の存在意義がなくなっちゃうじゃん。」
「守ってもらう自分は嫌だもん。」
「まぁでも、『俺が守ってやる』っていうのは何か傲慢で、澪波と俺には合わない感じがするかな。」
「そうだね。」
聡太に守ってもらうのも、澪波が守ってもらわなくてもよい存在になるのとどちらも何だか合わない感じがする。
「ところで澪波ちゃん。」
「なに?」
聡太が少し甘えた声で『澪波ちゃん』と呼ぶ時は、大概怪しいことを考えているときだというのを、ここ数カ月で知った。
「望んでもいい?」
「…モノによるけど。一応言ってみてよ。」
一応、とは言ったものの、もうそのお願いの内容だってほとんどわかっているようなものだし、お願いを叶えてあげる気でいるのだから自分も相当甘いと澪波は思う。
「澪波ちゃん、ちょーだい。」
「言うと思った。」
目がらんらんと輝いている。それこそ指輪の輝きには負けないくらいに。