線香花火
「あ、大ちゃん!澪波ちゃんと何食べたの?」
「別に何も食ってねーよ!」
「えぇ!?私なんてね、そーた兄ちゃんとクレープでしょ、あとアイスもトリプルにしてもらったし、あとねー。」
「そんなに食ったらデブになんぞデブ!」
「なにー!?大ちゃんのバカっ!」

 いつも通りのテンポに戻った大輝を見つめていると、何だかより一層微笑ましい気持ちになる。言えば言っただけ怒られてしまうかもしれないが、やっぱり可愛い。

「んー?なーに大輝見て可愛い顔しちゃってんの、澪波ちゃん。妬けるってさっきも言ったけど?」
「だって可愛いんだもん。由起子ちゃんの聡太が好きって気持ちと、大輝くんが好きって気持ち、全然違うのに〝好き〟って言葉が同じだけで引っ掛かっちゃうところとか、若いなぁって。」
「何か余裕だな、澪波。」
「え、何が?」
「俺がゆっことデートしてたってのにさー。妬いてもくんないわけ?」
「むしろどうして妬かなきゃいけないの?」
「冷たい!澪波ちゃんが冷たい!」
「聡太相手だと、ヤキモチ妬く必要なくて、安心できるってことなのに。」
「え?」
「…ちゃんと大事にされてるなーって日々、思ってるからヤキモチ妬かないんだけど、私。」
「…はぁー…それ、最強に可愛いね、澪波。」

「澪波ちゃん!今度は大ちゃんじゃなくて私と一緒に遊ぼうね!澪波ちゃんと話したいことたくさんあるし。」
「うん、ぜひ。」
「えー俺大輝と話すことないし。ゆっこー俺も一緒に行ってもいい?」
「だーめ!いくらそーた兄ちゃんだって女子トークには入れてあげない!」
「うわ、ゆっこに拒否されると傷付く…!大輝、彼氏の威厳!」
「っ…!俺に振るんじゃねーよ!」

*fin*
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