線香花火
完璧なんかじゃない
* * *
「そういえばさ、この前久しぶりに地元の友達と集まって飲んだんだよ。」
「あー言ってたね。飲み会って。それで?」
「いや、俺が今澪波と同棲してるって言ったらすげー驚かれてさ。」
「…そりゃ…どんな流れで言ったのか知らないけど、昔の私たちを知ってる人たちからすれば不思議に思うんじゃない?」
「…そうだよなぁ。なんていったって、完全無欠の小林澪波だもんな。」
「…なにそれ、初耳。」
澪波の眉間に皺が寄った。完全無欠の小林澪波とは何ぞや。
「中学の頃の友達で澪波を知らないやつ、多分いないんじゃないかなぁ。」
「学年委員やってただけじゃなかったっけ、私。」
「学年委員長だからね。普通の委員より目立つし、おまけに成績常にトップ。生徒会長よりも人気あり。」
「何それ。どこ調べ?」
「俺と俺の周辺。」
「聡太のは大体適当。」
「んなことないから。」
中学の頃をぼんやりと思い出す。確かに成績は良かった。友達もそれなりにいたし、好きな人も。
「俺と澪波の住む世界が違いすぎてさ。小学校まではあんなに一緒にいたのに、突然なんつーか、距離ができたというか。」
「それが思春期、ってもんじゃない?」
「それでも今、こうして一緒にいるんだもんな。」
「そうだね。…それにしても、中学、かぁ。」
蘇る記憶。聡太と同じクラスになったのは1年生の時だけだった。2年以降は違うクラスで部活も違う。家は近かったけれど、一緒に帰ろうなんてどちらからも言うことは何となくできなかった。
しかし、2年生だった二人の2月14日。バレンタインデー。その日だけは、やっぱり鮮明に覚えている。
「1年の時は結構話してたけど、2年のときなんて多分バレンタインの日だけじゃないかな?澪波と話したの。」
「…やっぱり覚えてたのかー…。」
「うん。海で慰めた時にも言ったじゃん。俺、澪波が失恋するの見るの、あれで2回目。1回目は、中学2年のバレンタイン。」
「…忘れてよ。」
「いーや、それは絶対無理だから。あの日初めて、澪波ってめちゃくちゃ女の子だーって思ったんだよ。」
「そういえばさ、この前久しぶりに地元の友達と集まって飲んだんだよ。」
「あー言ってたね。飲み会って。それで?」
「いや、俺が今澪波と同棲してるって言ったらすげー驚かれてさ。」
「…そりゃ…どんな流れで言ったのか知らないけど、昔の私たちを知ってる人たちからすれば不思議に思うんじゃない?」
「…そうだよなぁ。なんていったって、完全無欠の小林澪波だもんな。」
「…なにそれ、初耳。」
澪波の眉間に皺が寄った。完全無欠の小林澪波とは何ぞや。
「中学の頃の友達で澪波を知らないやつ、多分いないんじゃないかなぁ。」
「学年委員やってただけじゃなかったっけ、私。」
「学年委員長だからね。普通の委員より目立つし、おまけに成績常にトップ。生徒会長よりも人気あり。」
「何それ。どこ調べ?」
「俺と俺の周辺。」
「聡太のは大体適当。」
「んなことないから。」
中学の頃をぼんやりと思い出す。確かに成績は良かった。友達もそれなりにいたし、好きな人も。
「俺と澪波の住む世界が違いすぎてさ。小学校まではあんなに一緒にいたのに、突然なんつーか、距離ができたというか。」
「それが思春期、ってもんじゃない?」
「それでも今、こうして一緒にいるんだもんな。」
「そうだね。…それにしても、中学、かぁ。」
蘇る記憶。聡太と同じクラスになったのは1年生の時だけだった。2年以降は違うクラスで部活も違う。家は近かったけれど、一緒に帰ろうなんてどちらからも言うことは何となくできなかった。
しかし、2年生だった二人の2月14日。バレンタインデー。その日だけは、やっぱり鮮明に覚えている。
「1年の時は結構話してたけど、2年のときなんて多分バレンタインの日だけじゃないかな?澪波と話したの。」
「…やっぱり覚えてたのかー…。」
「うん。海で慰めた時にも言ったじゃん。俺、澪波が失恋するの見るの、あれで2回目。1回目は、中学2年のバレンタイン。」
「…忘れてよ。」
「いーや、それは絶対無理だから。あの日初めて、澪波ってめちゃくちゃ女の子だーって思ったんだよ。」