チャリパイ9~チャリパイvs宇宙人~
「やあ♪守衛さん、今日も暑いね~♪」
大胆にも、自ら板倉に向かって話し掛けるシチロー……これも板倉の警戒心をそらす為の作戦であろう。
「ゆうべも六本木で遅くまで飲んでたもんだから、目の周りがむくんでるよ……メイクさんに顔作って貰わないと♪」
そんな独り言を、板倉に聞こえるように呟きながら、自分が“顔パス”の人間である事をさりげなく主張する。
守衛の板倉は、笑顔を崩す事なくシチローの言葉を聞き流していた。
(楽勝~♪)
心の中でガッツポーズを構え、シチローが板倉の前を悠々と通り過ぎようとした、その時である。
「…あれ……?」
シチローの体が、まるで金縛りにあったように、一歩も前に進まなくなってしまったのである。
体の後ろに、巨大なダンベルでもくくりつけられている様だ。
(どうして……?)
シチローは、不思議に思って後ろを振り返った。
そこには……
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