チャリパイ9~チャリパイvs宇宙人~

「通行証……」


先程のにこやかな笑顔とはうって変わって、まるで“ゴルゴ13”のように冷たい表情をした板倉が、シチローの襟の後ろをしっかりと掴んでいた。


「えっ…?」


「通行証見せなさい!」


「いやあ~♪通行証忘れてしまって♪
でもオイラ、これからこのスタジオで、とても大事な撮影があるんですよ」


頭を掻いて愛想笑いを浮かべながら、そんな弁解をするシチロー。


「大事な撮影って、何?」


シチローの襟の後ろを掴んだまま、表情を変えずに板倉は尋ねた。




「人類の未来を守る為の撮影です!」





  ブン!





工事現場の仕事で鍛え上げられた板倉の腕力で、シチローは5メートル先の道路に弾き飛ばされた。


「痛ぇ~っ!」


「何を言うかと思えば……戦隊〇〇レンジャーの撮影は、来週だよ!」


道路でしりもちをついているシチローのもとへ、他の4人のメンバーが集まってきた。


「何が顔パスよ!
全然ダメじゃない!」


サングラスがズレ落ちたまま、腰をさするシチローに皆の批判が集中した。


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