よろずくんの居候













「あ、千晴ちゃん。おはよう」



「おはようございます」



翌日、いつものように家前の通りに水を撒いていると、朝刊を取りに弥生さんが出てきた。


寝起きのようで、寝癖が立っている。



「いつも早いね」



「弥生さんは夜遅くまでお疲れさまです。あ、すいかおいしかったです」



「今日は休みだからゆっくりできるよー。おいしかった?それはよかった!」



おいしかったと言っただけなのに、弥生さんは心底嬉しそうに笑った。


本当に純粋というか純朴というか、今時めずらしい人だ。




「……ん、今日はわかめの味噌汁?」



「わかりました?はい、朝はわかめにしました」




弥生さんは匂いだけで味噌汁の具を当てるのが得意で、朝に会うと必ず当てられる。


匂いが強いわけでもないのに、よく当てられるなぁと毎日感心させられる。



「いいねぇ。俺は今日もパンかなぁ」



「パンだけですか」



「うん。ジャムを塗ってね」



「よかったら、朝食食べに来ます?」



「え!?いいの!?」




わかりやすすぎる喜びの反応。


目を輝かせ、ずいっと詰め寄ってきた。


その勢いに気圧され後ずさる。



「は、はい。パンだけじゃ栄養不足ですよ」



「じゃあお邪魔しようかな!」



「どうぞ」




残りの水を撒いて、桶を庭に戻し、家の中に案内した。


ごはんと味噌汁は作ってあるから、あとは目玉焼きでも作ろうかな。



朝食のおかずを思い浮かべながら、居間の扉を開ける。




「……え」



「あれ?千晴ちゃんの友達?」



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