ホントのキモチ。【完】
「なぁ」




「…え?」




頭の上で声がした。




低い声。




「相内くん!」




千夏はわかりやすいくらいに笑顔になり、相内くんに近づいた。




チクンッ




「え?」




首をひねる。




「なあに、どうしたの?莉子」




「なんか今…」




ドキン




合う瞳。




黒い瞳。




私を見つめないで。




「っ千夏!私、ちょっと行ってくる!」




「え!?莉子!!」




驚いた千夏の声を背に、私は教室を飛び出した。



< 38 / 156 >

この作品をシェア

pagetop