【完】純白の花に、口づけを。
PURE WHITE*1
◎愛しいヒト
「──もう、また喧嘩したの?」
リビングの扉を開けて一番、呆れたような口調で言われる。
「喧嘩売られたんだから仕方ねーだろ?」
「和架はトップなんでしょう?何かあったら大変じゃないの。こら、瑞希も喧嘩ばっかりしちゃダメよ」
言っておくが、顔に傷なんてひとつもない。
それは俺と、後ろにいる男もだ。
手にほんの小さな擦り傷があるだけだし、そもそも俺らに軽い説教をするこの女……白魏 依千花(シラギ イチカ)からは傷さえ見えないのに。
「あのさ、姉貴。前から思ってんだけど、俺も和架も喧嘩したってなんでわかんの?」
同じように後ろで説教されていたこの男は、千花の弟である白魏 瑞希(シラギ ミズキ)。
このふたりは、俺の幼なじみだ。