【完】純白の花に、口づけを。
「和架、」
「……ん」
千花が俺を呼ぶだけで、特別な響きに感じる。
抱きしめてるくせに、もっと触れたい、なんて。
「和架……、私……」
千花の腕が、俺の背に回る。
強く強く、抱きしめ合った。
炎天下の中で、こんなに密に抱きしめあえば暑いはずなのに。
それさえ、感じないほど。
「っ、」
千花の瞳から、一筋だけ涙がこぼれた。
それを拭うこともせず、千花は少しだけ背伸びする。
そのせいで、一気に顔の距離が近くなった。
「和架」
鼻先が触れそうなほどの距離で、千花が名前を呼ぶから。
「キス、しよっか」
その言葉に、理性はぷつりと切れた。