【完】純白の花に、口づけを。
◎たった、ひとつだけ
「どうだった?依千花さんと」
なかなか戻らない俺の元へやってきたのは、珍しく楽しそうな亜希。
「どうって、何が聞きたいんだ」
「うん?なんか、依千花さん泳がないんだって。水着持ってきたのに」
……あ。
俺がキスマークつけたから、泳げねぇのか。
「着替え持ってきてるらしいから、下は水着に着替えて上からTシャツ着るって言ってたよ」
「……そうか」
「和架、依千花さんになんかしたの?」
「した……っつうか、された」
俺の答えに、一瞬亜希はきょとんとして。
「されたって、何を?」
「……誘惑された」
本人にそのつもりがあったのかなかったのかは分かんねぇけど、それに誘われてしまったのは間違いなくて。
亜希は、くすくすと笑った。
「誘われて、ノッちゃったんだ?」