【完】純白の花に、口づけを。
「……調子狂う」
ポツっと呟くと、亜希は楽しそうに笑った。
「きっと、和架は依千花さんのこと忘れられないと思うよ」
亜希の言葉を聞きながら、依千花と強く絡ませていた手を目の前まで持ち上げる。
「依千花さんといるときとか、依千花さんのこと考えてる和架って、見てるこっちが笑っちゃうほど幸せそうだから」
「顔に出まくってんだな」
「隠しきれないほど依千花さんのこと好きなんだよ」
だろうな。
それは自覚してる。
「和架の隣は、依千花さんしか似合わないね」
そう言った亜希に、ふっと頬が緩む。
俺の隣は、千花だけ。
それは千花が結婚しても、年を重ねても、千花が俺以外の誰かの子供を産んだとしても変わらない。