【完】純白の花に、口づけを。
「千花が何考えてんのか分かったら困んねぇのにな」
「ふふ、そうだね。でも、人って何考えてるのか分からない生き物だからさ」
「………」
「だから、うわべと本心がわけわかんかくなって。行き場のない感情が生まれる」
そうでしょ?と尋ねた亜希に、俺はふっと笑っただけだった。
亜希がどんなもん抱えてんのかは知ってるし、解決してやりたいとは思うけど。
「触れるのが優しさか、触れねぇのが優しさか」
「それを俺に聞くのはずるいと思わない?」
「わかってる」
千花なら、絶対に触れるのが優しさだって答える。
自らを犠牲にして、守ろうとする人だから。