【完】純白の花に、口づけを。



「………」



「依千花さんが、いなくなったら。和架の不安は誰が取り除いてあげられる?そう思ったら、やっぱり誰かに心を開かないとダメなんだよ」



誰か、な。



千花にだけ、心を開いてきたせいで。



今更誰かに心開くなんてこと、出来ないかもしれない。



「せめて俺らには開いてくれたら嬉しいかなって、思ってる。無理するのと、乗り越えるのは違うからね」



そう言うと亜希は携帯を取り出して、耳に当てた。



どうやら着信らしい。




「ごめんね。和架のこと見つけるのに時間かかっちゃってさ。見つけたから、今戻るよ」



時間かかったわけじゃねぇのに。



亜希も優しすぎるから。



千花みたいに、縋ってしまいたくなる。



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