【完】純白の花に、口づけを。
「意味わかんね……」
誘ってくるのはマジでやめてほしい。
簡単に自惚れるから。
「和架」
ピクッと肩が跳ねる。
振り向けば、瑞希が彼女と手を繋いで歩いてくるところで。
別にやましいことはないのに、マズいと思った。
「姉貴の髪についたゴミ取るために、わざわざあんなに近くなくてもいいでしょ」
……あれ。
ゴミ取っただけだと思われてんのか。
「気をつけないとダメだよ、和架」
そう言われて。
でも、瑞希の目を見てわかった。
“俺が誘われたのわかってて、あえて何も言わない”だけだ。
誤魔化してくれてるだけ。
俺はやっぱ、弱いままかもな。