【完】純白の花に、口づけを。
「悪いな」
「ったく。しっかりしてよね」
「ん」
もどかしい。
千花が何を思って俺を誘うのか。
したいからしたって、それ以上の理由は教えてくれない。
「瑞希くん」
「なに?花」
「ううん、なんでもないよ」
瑞希は繋いでない方の手で、くしゃりと彼女の頭を撫でた。
……ん?
「似てる」
誰かに、似てる。
叶恵さんじゃない、誰かに。
瑞希の彼女と会ったことは、何度かあったけど。
なぜか、俺の中には。
「そんなに俺の彼女見つめないでくれる?」
「違ぇよ」
──妙な違和感が、残った。