【完】純白の花に、口づけを。
「ん~?和架、いっちゃんとなんかあったのか~?」
「別になんもねーよ」
そう。
なんもない。
……わけがない。
それなら俺の機嫌が悪くなるわけがない。
「和架はわかりやすいよね。特に、依千花ちゃんのことになると」
亜希にそう言われて、仕方なく嘆く。
何が哀しくてコイツらに恋愛相談しなきゃなんねーんだ。
「ハルさんが、今日から家に住むことになった」
俺の話には興味なさげに、彼女とスマホでやり取りを続ける瑞希を、半ば八つ当たりで蹴ってやった。
痛くない程度に。
「った。何すんの和架」
「ムカついたからな」
「それ俺じゃなくてハルさんに言えば!?」
言えたら苦労してねーよバカ。