【完】純白の花に、口づけを。
今まで、こんなにはっきり本音を出したことはなくて、少し戸惑うけど。
「言えんじゃん」
瑞希が、ふっと笑った。
「ちゃんと、言えるんじゃん。自分の本音」
「………」
「姉貴が望んでたことって、それだと思うよ」
千花が、望んでたこと?
「姉貴にしか、和架が本音を出さないから。姉貴はずっと、和架が他の誰かに本音を言えるように考えてた」
そんな、ことまで……。
「姉貴に、報告してあげなよ。ちゃんと言えるようになったんだって」
「…ん」
「きっと、褒めてくれるよ」
“姉貴はそういう人だから”と、次の瞬間にはもうスマホを取り出してイヤホンを耳にはめる瑞希。
今までのいい感じがぶち壊しだ。