【完】純白の花に、口づけを。



「俺らに気づかれないように、裏で」



“本当、依千花ちゃんには適わないなぁ”と亜希が呟く。



ずっと亜希を縛り付けた佐渡。



「俺の親が、昨日“ごめん”って謝ってきたよ。婚約は破棄にするけど、佐渡を継ぐのは俺しかいないから。継いでくれないか?って」



初めて親に頭下げられた、と言うくせに亜希はどこか嬉しそうだ。



上手く、いったんだな。




「千花のヤツ、そんなことまでしてたのか」



「なんでも、佐渡と白魏が合同で今度大きなパーティー開くんだって」



くすくすと、亜希が笑う。



親からの圧力のせいで、メガネの“壁”を作って、俺と同じように本音を隠してきた亜希。



「依千花ちゃんにもう一回恋してもいいんだけど、そうすると俺らのキングに殺されちゃいそうだからやめとくね」



相変わらず性格は悪いままだけど。



この時以来、亜希の目元にメガネがかかることはもうなかった。



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