【完】純白の花に、口づけを。
「和架、お…かえり……」
さりげなくハルさんを押しのけ、千花が俺に声をかけてくる。
「……ただいま」
さすがに、本音でアイツらに“千花を好き”だと言ったすぐあとに、こんなの見せなくてもいいだろ。
そもそも、俺が来るのもうちょっと遅かったら……。
「和架、何もないから。ちょっと冗談でハルに押し倒されただけだから、そんな顔しないで」
冗談でも、好きなヤツを押し倒されたら俺だって嫉妬ぐらいする。
「……和架、マジで今のは冗談だから気にすんなよ」
そう言いながらもやっぱりどこか気まずいのか、ハルさんは先にリビングへと行ってしまった。
「…千花、今日仕事は?」
「午前中で終わり、よ。明日からはまた忙しいんだけど……」