【完】純白の花に、口づけを。
「とりあえず、1回離れ───」
離れた方がいい、と言うはずだったのに。
目の前で、千花の長いまつ毛が小さく震えた。
「和架がしてくれないから」
離れて、千花はそう言うけど。
俺は未だに、呆然としていた。
「してくれないからした、って……」
「前に、言ったじゃない。和架とキスしたいって」
──っ。
そんなこと言われたら、さっきまでのふたりの行動とか、そんなのどうでもいい。
千花の指を、さっきよりきつく絡めて。
あとに戻れないことは、俺が一番知ってるから。
千花を引き寄せて、柔らかいその唇に自分のを重ねる。
千花の唇を喰らう俺は、ケモノそのものかもしれない。
でも止まれなくて、俺はハルさんがいることなんて忘れて、何度も千花の唇を喰らった。
……───。