【完】純白の花に、口づけを。
「本気、だなぁ」
「千花に無条件で好かれるヤツは嫌いなんだよ」
たとえば、お前みたいな元彼とか。
無条件で千花に愛されてたっていうその事実が気に食わない。
何年も想って、触れたくて、でも壊したくなくて触れられなくて。
それでも傍にいられるなら押し込めようって、何度も思った。
だから、嫌なんだ。
なにもしてないくせに、千花に好かれるってことが。
「婚約が破棄になることはねぇのに?」
「俺は、認めない」
千花がもし、“結婚して幸せになれる”と言ったとしても、俺は認めない。
「お前ってさ、」
ハルさんが、ふっとこちらに視線を向ける。
「重いんじゃね?それって、好きってキモチを押し付けてんだろ」