【完】純白の花に、口づけを。



「…千花」



千花。



俺の、ずっと、愛しい人。



鮮明に思い出せる、千花の唇の感触とか。



何度も見た笑顔に、心が軋んでいく。



触れたい、と思ったのは数回じゃない。



本当は、ずっと昔から触れたかった。




抱きついただけで、あんなに柔らけぇんだから、触れたらもっと柔けぇのかなって。



……いつか、千花に触れたくて。



その時に「和架」って、あの甘くて優しい包むような声で名前を呼ばれたら、きっと俺はそれだけで幸せだ。



別に、特別なことは必要ない。



ただ触れて、名前を呼ばれたいだけ。



……ああ、でも。俺欲張りだから。



その時になったら、もっと何かして欲しいって思うかもしれねーけど。



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