【完】純白の花に、口づけを。



「和架は、私の大切な人よ」



抱いて、なんて酷なことを言った。



キスだって、私の気持ちを知らないままの彼は戸惑っていたはずだけど。



それでも、たくさんしてくれた。



ハルにも和架にも縋った私は、弱いままで。



和架が憧れるほど、強くない。



私が“クロ”になったのは、白魏の栫(カコイ)から逃れたくなったから。



その目的はいつの間にか変わって、花ちゃんが黒をやってるのは和架たちを守るため。





亜希くんが、ずっと昔に。



私を見て、“すごい”と言ってくれたけど。



なんにも、すごくない。



白魏にいたら、あれが当たり前。



だから、嫌だった。



和架を、縛り付けたくなかった。



もうすぐ、白魏と佐渡の大きな合同パーティーが開かれる。



その時に、はっきりする。



自信を持って、“白魏の娘”として、私はハルを婚約者だと紹介する。



もう、揺れたりしない。



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