【完】純白の花に、口づけを。



「瑞希」



「……大丈夫。花と今日、会う約束してちゃんと聞くつもりだから」



「…そうか」



かなりショックは受けてたみたいだが、そこまで傷は深くないらしい。



「和架はさ、」



「ん?」



「強いね、俺が思ってたよりもずっと」



「……?」



「小さい頃から一緒にいたせいかな。“幼なじみ”だって思ってたけど、」



瑞希の髪が、風でふわりと揺れた。




「和架の方がよっぽど強くて、大人だね。幼なじみでも、同じヒトに育てられても」



育てたくれたのは、千花。



千花は、何度も俺を甘やかしてくれたし。



「別に、強くねーぞ」



……半分以上は、強がりだった。



千花に甘やかされると、その強がりなんてなくなって思わず弱い本音が出てしまったりしてたけど。



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