【完】純白の花に、口づけを。



「千花、離して」



「ありがとう、和架。和架がそう言ってくれたら、私はめげずに頑張れるの」



もう、彼の傍にいられなくなったとしても。



私はずっと、ハルの隣で。



和架の姉として、母として、傍にいられる。



「和架は、お姉ちゃんかお母さん、どっちが欲しい?」



酷な質問だと思う。



和架は、私に姉も母親も望んでないのに。




「……ハルさんと、いつ結婚すんの?」



「来年の、春には」



あと、半年ほどだ。



「……来年から、一人暮らしさせて」



その一言で、胸が締め付けられる。



“女”として自分の隣にいてくれる私以外を、彼は望まない。



私の弟にも、息子にも彼はなりたくない。



……当然、か。



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