【完】純白の花に、口づけを。
「……っ、」
傍に、いたのに。
こんなに近くで、幼なじみの距離なんてとっくに越えてたのに。
どうして、俺じゃダメなんだよ。
「千花…、」
ああ、なんかしんどい。
突然思考がぐらぐらと揺れて、頭が痛い。
「……、」
どれだけ愛おしくても。
どれだけ、俺が好きだと言っても。
きっと、もう千花は……───。
そこまで考えて、唐突に意識が薄れた。
息苦しさからは、解放されないまま。
残りわずかの思考を、さ迷わせて。
でも、結局何も出来ないまま瞼が閉じていく。
閉じる、寸前。
自分の瞳から、涙がこぼれ落ちた気がした。